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05年度の入試は少子化による受験生数の減少が進み、国公私立大入試で志願者が減少しました。特に国立大の志願者減が目立ち、昨年から始まったセンター試験、原則5教科7科目化が大きく影響しました。私立大は06年度入試から始まる新課程入試を見据え、安全志向から志願者減は小幅に収まったようです。06年度入試は、どうなるのか展望します。

 
   

新課程入試初年度の2006年入試は波乱含み

2006.1.19


大学全入時代を前に大学が破綻する、衝撃的な出来事が起こった

05年6月20日に発表になった、萩国際大(山口県萩市)の民事再生法適用申請は、まさに衝撃的なニュースでした。“大学・短大全入時代”を前に、大学が破綻したのです。

大学・短大全入時代とは、大学・短大志望者と大学・短大の入学定員がイコールになる、すなわち、大学・短大入学希望者は、必ずどこかの大学・短大に入学できることに他なりません。全入時代到来は、浪人生がゼロになるということを意味しています。全員どこかに入学できるわけですから、浪人はいないはずです。

しかし、現実にはそんなことは起こりえません。なぜなら、有名大学に浪人してでも入りたい、あるいは医学部に浪人してでも進学したい受験生は、いつの世にもいるからです。そうなりますと、浪人生が生じた分、どこかの大学・短大の定員が埋まらないことになります。逆に、受験生はどこかに入学できるわけですから、その選択肢が広がることになります。

大学・短大は定員を充足して初めて経営が成り立つようになっていますから、定員を割るということは、即座に経営に響き、最悪の場合は、今回のように破綻してしまうことになります。大学・短大全入時代到来とは、こういった学校経営の危機が、各大学・短大に迫っているということなのです。それだけ皆さんの志望校選びが重要になってきたということです。

そもそも、この“大学・短大全入時代”の到来の大きな理由は、少子化にあります。これによって、大学・短大には年々入りやすくなっています。しかし、入りやすくなった理由はそれだけではありません。実は入学者数があまり減っていないことも大きな要素なのです。

18歳人口ピークの1992年、受験生数は約121.5万人で、入学者数は約79.6万人でした。これに対して、2004年の受験生数は約82.5万人で、1992年と比べて32.1%減でした。その一方、2004年の入学者数は約70.5万人で、1992年と比べて11.4%の減少にとどまっています。つまり、志願者が32.1%も減っているのに、入学者は11.4%しか減っていないから入りやすいのです。入学者も32.1%減っていれば、1992年と同じ入試状況で、大変厳しい入試になっていたと考えられます。それが11.4%減にとどまっているために、大学・短大には入りやすくなっているわけです。「志願者が減っている割に入学者が減っていない」ことが、大学・短大に入りやすくなった一番の原因です。

なぜ、入学者が増えたのか、その理由は大学・短大の増加にあります。1992年当時、大学は523校、短大は591校で計1,114校でしたが、2004年には大学709校、短大508校の計1,217校、この間に103校も増えています。特に、短大は数が減っていますが、大学は35.5%も数が増えています。

4年制大学より短大の方が、生徒募集が厳しいせいで、募集停止になる短大が多く、その分、短大の改組・転換による大学の新設、さらには数字には表れませんが、既にある大学に学部が増設されています。学校数の増加も入試の易化に影響しています。


“国公立大人気”の中、4.9%の志願者減だった05年の国公立大

さて、このような状況の中、行われた今年の入試はどのような入試だったのでしょうか。少子化の影響で、多くの大学で志願者減となりました。大学入試センター試験の志願者数は、2年連続で減り、3.0%の減少となりました。私立大・短大のセンター利用入試校が増えている中での減少です。これには、やはり昨年から実施された国立大のセンター試験、原則5教科7科目化が影響していると思われます。少子化の中でも、センター試験志願者は増えていましたから、ここへきて大学入試の潮流が変わったといえます。

一昨年までは、3教科を中心に学んでいる私立型受験生も受験可能な国立大がありました。それによって、私立大のセンター利用入試への出願を考えながらも、国立大受験が可能でした。ところが、国立大の5教科7科目化によって、私立大型受験生にとっては、国立大が手の届かないものになり、センター試験受験を締めた受験生も多くなってきたのではないでしょうか。

これを受けて、今年の国公立大入試の志願者は507,987人、昨年比6,257人、4.9%減となりました。特に国立大は前期が6.2%減、後期が5.7%減、公立大全体の2.3%減を大きく上回る減少でした。

最近の入試は、“国公立大人気”を中心に推移しています。この人気の一番の理由は、学費の安さです。国立大の初年度納入金は、私立大と比べて、文系学部で約47万円、歯学部では何と920万円も安くなっています。

この人気があった上に、05年度はセンター試験5教科合計の平均点が、各予備校の集計で文系は昨年並み、理系は大幅アップと、追い風が吹きましたから、国公立大の志願者は増えるのではないか、と見られていました。なぜなら、5教科の平均点が前年からアップした年は、いつもなら受験生は強気になり、志望校のランクを上げたり、難易度の高い学部に志望変更したり、国公立大を諦めていた人も果敢にチャレンジしたりする動きが見られるからです。

しかし、実際には国立大の志願者は減少してしまったのです。今年は科目による平均点のアップダウンが大きく、これが強気受験にブレーキをかけたようです。英語、生物IBで10点以上のダウン、科学IB、現代社会で10点以上アップと明暗がはっきり分かれました。科学IBと地理B選択者と生物IBと日本史B選択者では、平均点ベースで計算しても25点の差がつきました。その上、英語の平均点が大きく下がり、受験生は一概に強気になれなかったと思われます。

また、公立大より国立大の減少が大きいことから、昨年スタートした国立大の5教科7科目化の影響で、敬遠する傾向が出たのではないかと見られます。

国公立大あわせて志願者倍率(志願者数÷募集人員)は、昨年の5.3倍から5.0倍に下がり、センター試験実施以降、最低の倍率となりました。

そんな中でも、旧7帝大(北海道大、東北大、東大、名古屋大、京大、大阪大、九州大の7校が明治時代、帝国大学と呼ばれていたことから、旧7帝大と総称している)や神戸大など難解国立大全体の志願者数は、3.0%減にとどまっています。

大分大、鳥取大など地方の国立大での減少が目立ち、私立大同様、国公立大の二極化が明らかになってきました。学部系統別では、相変わらず、資格が取得できる学部人気から、看護・保健系学部の志願者が増え、理系人気の中、工学部が志願者減少で、理系学部の人気、不人気の二極化が進んでいます。

06年度の新課程入試を視野に入れ、安全志向が見られた05年度の私立大入試

一方、私立大入試はどうだったのでしょうか。“大学・短大全入時代”が到来すると、これからの入試は、一部の大学・学部以外は競争がなくなり、選抜ができなくなる、つまり実質上、全員入学になるのではないかと予測されています。

定員割れの大学は年増加し、2004年には155校、全体の29.1%、短大では164校、全体の41.0%を占めるようになってきました。特に下位レベルの大学では、志願者が減り、競争率がほぼ1.0倍の大学が増えています。その一方で、難関大はますます人気を集めるという、「大学の2極化」が進行してきました。そして、今年の入試も、この延長線上で推移すると予測されていました。

しかし、05年度も04年度に続き、易化が予想されていた入試レベルが中位から下位レベルの大学においても、志願者は大きくは減少しませんでした。私立大全体で約2.1%の志願者減となったのです。

この理由は、「大学の2極化」より早く「受験生の2極化」が進んだことにあると思われます。高校を卒業して就職しようにも、この「就職冬の時代」では、なかなか就職先は見つかりません。そのために、大学に進学した方が、就職には有利だろうと考える高校生が増えているのです。つまり、一生懸命勉強して上位大学を目指す受験生の増加に加えて、受験勉強にそれほど熱心ではなく、現段階の学力で合格できる大学を目指す受験生が増えたため、上位大学でも下位大学でも志願者がそれほどは減らず、二極化の流れが沈静化したと考えられます。

私立大全体の志願者数減少の割合は、国公立大に比べれば、やや小さかったのですが、その理由は、もう一つあります。来年から始まる新課程入試です。2006年、新学習指導要領を学んできた高校生が初めて入試に挑戦します。このときの入試を新課程入試と呼びます。

学習指導要領は高校で学ぶ内容を、時代に即した教育を行うため、ほぼ10年ごとに見直して改訂されてきました。ところが、ゆとり教育を標榜する今回の新学習指導要領は、内容が従来に比べて約3割削減され、学力低下が指摘されて、大きな問題になっています。

いつもの学習指導要領の改訂時には、新しい分野が加わったりするので、受験生は浪人を避ける方向に進みます。しかし、今回は内容が削減されているため、浪人しても不利はないと考えられ、強気受験になるのではないかと予測されていました。

しかし、いざ入試になりますと、やはり06年度から始まる新課程入試への不安により安全志向が働き、現役合格を目指す受験生が多かったと見られます。そのため、私立大入試では、思ったほど志願者が減少しませんでした。大きく志願者が減ったのは、法政大、立命館大、日本大、東海大、早稲田大など。逆に増えたのは、同志社大、関西大、東洋大、明星大、帝京大など。

受験生人口減少期に入っていますから、ある大学の志願者が増えれば、別のある大学の志願者が減る、という現象が起きています。立命館大が減少した分、同志社大が増えている、というような形です。同志社大は、今年、工学部を除く全学部で同一日程入試を実施しました。受験機会が1回増えることになりますから、7,081人、22.8%の志願者増で人気を集めました。

また、05年の私立大入試の特徴としては、センター試験利用入試の志願者が減少となったことです。昨年に続き、今年も私立大型受験生にとって、センター試験受験は、私立大のセンター試験利用入試のためだけとなっています。私立大のセンター試験利用入試は、ほとんどの場合、センター試験の成績だけで合否が決まり、国公立大のようなセンター試験のほかに大学独自の試験がありません。つまり、大学に入試を受けに行かなくてもすみ、受験料も一般入試の3万5千円より安く、受けやすいことが人気の理由でした。

しかし、国公立大を受験できるプラスアルファの魅力がなくなり、さらにセンター試験利用入試は、合格最低点を公表しない大学が多いものの、高校・予備校の調べでは非常に高く、センター利用入試で落ちた生徒が、その大学より難易度の高い大学の一般入試で合格するケースも見られるようになってきています。こういった現状から、センター利用入試を敬遠する傾向が出ていると見られます。

 

2006 君はどの大学を選ぶべきか<ザ・受験編>(大学通信発行)より


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