今年度の首都圏中学入試は、前年度を上回る受験者数となり、3年連続増加となった。受験者数を全卒業者数で割った受験率は15%を超えた。
全卒業者数は約29万人で、前年度から約3600人減少しているのに対して、受験者数は約4万4700人(推定)と前年度より約1500人増加した。
このような中学受験志向の増大の背景としては、2002年に新学習指導要領が導入されたことによる学力低下懸念と、公立の校内暴力、いじめなどの生徒管理上の問題によると考えられている。また、東京の都立白鴎高校付属、東京農業大第一、埼玉の浦和実業学園、大宮開成、淑徳与野の、公立1校、私立4校の新設の影響もある。
全体的傾向としては、前年度のサンデーショックのゆりもどしと、新設校の影響が重なって複雑な状況だったが、応募者数、受験者数とも増加し難化した。
新設校の影響としては、3校が新設された埼玉では、応募者数は、前年度と比べて、共学校が約4700人増、女子校が約1400人増、男子校がほぼ同数という結果で、共学校の増加分は新設2校の応募者数とほぼ同数、女子校は、新設1校の応募者数より若干多かった。新設校の募集人数増に対しての応募者増が大きかったため、共学校の平均倍率が大きく上がり、全体の平均倍率を押し上げた。
東京では、共学校は、応募者数で約3200人増加し、新設の東京農業大第一の応募者約2400人による増加分より、約800人増加し、平均倍率も上昇した。
新設校のなかった神奈川と千葉では、神奈川が約2%、千葉が約4%増加している。
サンデーショックのゆりもどしの影響は、ほぼ例年通りで、前年度に応募者が減少した学校は今年度は増加し、同様に、増加した学校は減少している。しかし、減少した学校でも1昨年度と比較すると増加している学校が増えている。
また、どうしても私立に入りたいという受験生が増加する傾向にあり、複数回受験、複数校受験者が増加し、1人あたりの出願校数は約5〜7校となっているのが現状で、応募者数だけでは量りきれないところがあるというのが実態。
ただ、実質倍率は確実に上昇し、難化傾向にあるのは事実のようだ。
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